公的データ一覧
宿泊事業者の経営判断に使える公的統計は5本あります。公表元・頻度・最新値を一覧にしました。
| 統計名 | 公表元 | 頻度 | 最新の主要数値 | 基準年 |
|---|---|---|---|---|
| 観光白書 | 観光庁 | 年1回(6〜7月) | 訪日4,268万人 / 消費9兆4,549億円 | R8版(2025年実績) |
| 宿泊旅行統計調査 | 観光庁 | 月次 | 延べ6億6,111万人泊 / 稼働率61.6% | 2025年年間確定値 |
| 訪日外国人消費動向調査 | 観光庁 | 四半期 | 9兆4,549億円 / 22.9万円/人 | 2025年通年(確報) |
| 第5次観光立国推進基本計画 | 内閣 | 5年ごと改定 | 2030年目標: 6,000万人 / 15兆円 | 2026年3月閣議決定 |
| JNTO訪日外客数 | 日本政府観光局 | 月次(翌月15日頃) | 2025年: 4,268万人(確定値) | 2025年年間確定値 |
Q.観光白書とは — 年に1度の「公式記録」
観光立国推進基本法第8条に基づく法定白書です。前年の訪日旅行者数・消費額・宿泊統計が1冊に集まります。最新は令和8年版(正式名称「令和7年度観光の状況 令和8年度観光施策」)で、2026年7月10日に閣議決定・国会提出されました。2025年実績を収録しています。
例年の閣議決定は6月中旬で、令和8年版は7月10日と約1か月遅れました。テーマ章は「『働いてよし』の観光産業の実現に向けて ― 宿泊業の人材確保と生産性の向上」。宿泊業の人手不足と労働生産性に1章を割いています。
白書は「統計編」と「施策編」に分かれます。経営計画に使うのは統計編で、訪日・宿泊・消費の3分野が章別に整理されています。
詳しい章別の読み方は 観光白書 令和8年版の読み方 で解説しています。2024年実績で比較したい場合は 令和7年版の解説 が残してあります。
Q.宿泊旅行統計調査とは — 毎月の稼働率と宿泊者数
観光庁が全国約1万の宿泊施設を対象に毎月実施する基幹統計です。延べ宿泊者数・客室稼働率・外国人宿泊者数が施設タイプ別・都道府県別に公表されます。
2024年 年間確定値
| 指標 | 2024年確定値 | 2019年比 |
|---|---|---|
| 延べ宿泊者数(全体) | 6億5,906万人泊 | +10.6% |
| 客室稼働率(全体) | 59.6% | — |
| 稼働率: ビジネスホテル | 73.7% | — |
| 稼働率: シティホテル | 72.3% | — |
| 稼働率: リゾートホテル | 54.1% | — |
| 稼働率: 旅館 | 36.1% | — |
月次速報は第1次(翌々月末)と第2次(3か月後)の2段階で公表されます。第1次は速報値で修正が入るため、経営計画の根拠には年間確定値を使います。
指標の定義(延べ宿泊者数と実宿泊者数の違い、稼働率の計算式、三大都市圏の定義)は 宿泊旅行統計の読み方 で整理しています。
Q.訪日外国人消費動向調査とは — 四半期の単価トレンド
観光庁が四半期ごとに空港・港湾で訪日外国人に聞き取り調査を実施し、消費総額・費目別構成比・市場別単価を公表します。宿泊費のシェアや市場別の単価差を把握するための基本データです。
直近の公表値
| 期間 | 消費総額 | 1人当たり旅行支出 | 消費総額の前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 2025年 通年(確報) | 9兆4,549億円 | 22.9万円 | +16.4% |
| 2026年Q1(1-3月) 1次速報 | 2兆3,378億円 | 22.1万円 | +2.5% |
| 2026年Q2(4-6月) 1次速報 | 2兆5,096億円 | 24.4万円 | +0.2% |
Q2は消費総額が横ばい(+0.2%)の一方、1人当たり旅行支出は24.4万円で前年同期比+3.3%と、Q1の22.1万円(-0.6%)から増加に転じました。4-6月は訪日外客数が3か月続けて前年を下回っています。人数が減っても総額が横ばいで済んだのは、単価が伸びたためです。
市場別の単価差や費目別構成の読み解き方は 2026年Q1 消費動向まとめ で解説しています。
Q.第5次観光立国推進基本計画とは — 2030年までの政策目標
2026年3月27日閣議決定。計画期間は令和8〜12年度(2026〜2030年度)です。宿泊事業者にとっては、投資判断や事業計画の「外部環境の前提」として使います。
主要KPI
| 目標指標 | 2025年実績 | 2030年目標 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 訪日外国人旅行者数 | 4,268万人 | 6,000万人 | 71% |
| 訪日外国人旅行消費額 | 9兆4,549億円 | 15兆円 | 63% |
基本計画の全体像と各章の解説は 観光白書・基本計画カテゴリ で整理しています。
Q.JNTO訪日外客数とは — 月次で動向を追う
日本政府観光局(JNTO)が毎月15日頃に前月の訪日外客数を推計値で速報します。市場別(国籍別)の増減がわかるため、自館のインバウンド対応の優先順位づけに直結します。
2025年の年間確定値は4,268万3,600人(観光白書と同値)。月次の読み方は 訪日外客数 月次速報の解説 を参照してください。
Q.宿泊事業者はどの統計をいつ見ればいいか
| 頻度 | 統計 | 用途 |
|---|---|---|
| 毎月 | 宿泊旅行統計(速報) | 自館の稼働率を全国平均・施設タイプ別と比較 |
| 毎月 | JNTO訪日外客数 | 市場別の動向から重点対象国を判断 |
| 四半期 | 消費動向調査 | 単価トレンドから料金設定・プラン設計の材料 |
| 年1回(6〜7月) | 観光白書 | 年間確定値で事業計画の前提を更新 |
| 5年ごと | 基本計画 | 中期計画・投資判断の外部環境前提 |
月次の統計は公表日が翌月15〜末日のためタイムラグがあります。速報値は修正が入ることを前提に、トレンドの方向感として使います。
FAQ
出典
- 観光庁「令和8年版観光白書(令和7年度観光の状況 令和8年度観光施策)」(2026年7月10日閣議決定) https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00092.html 2026-07-27 参照
- 観光庁「令和8年版観光白書について(概要版)」(2026年7月) https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002011051.pdf 2026-07-27 参照
- 観光庁「インバウンド消費動向調査」2025年年間値(確報) https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001992584.pdf 2026-07-27 参照
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」2024年・2025年年間確定値(2025年確定値は2026年7月6日公表) https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shukuhakutokei.html 2026-07-13 参照
- 観光庁「訪日外国人消費動向調査」2026年1-3月期 1次速報 https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00082.html 2026-06-09 参照
- 観光庁「インバウンド消費動向調査」2026年4-6月期 1次速報(2026年7月15日公表) https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00094.html 2026-07-30 参照
- 観光庁「第5次観光立国推進基本計画」(2026年3月27日閣議決定) https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00077.html 2026-06-09 参照
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計」 https://www.jnto.go.jp/statistics/visitor-statistics/ 2026-06-09 参照
引用・転載について
本記事のテーブル・図表・文章を引用・転載する場合は、以下のクレジットを明示してください。
出典: BB宿泊ラボ「観光統計・白書 2026 一覧」(https://miyako.com/lab/toukei/kanko-toukei-hakusho-matome-2026/)
- 原典は各統計の公表元(観光庁・JNTO)です。本記事は一次情報の整理・解説であり、引用時は原典の出典も併記してください
- 商用利用を含め、クレジット表記があれば転載可能です
- 内容の改変を伴う場合は事前にご連絡ください
