Q.2027年の施行はいつ・どこで始まるか?
2027年2月1日、沖縄県の宿泊税が始まります。全国の2027年組で最も早い施行日です。同じ日に名護市と石垣市・宮古島市・本部町・恩納村・北谷町の6市町村も市町村税を開始し、初日だけで7自治体が動きます。その後は3月の稚内市、4月の東京都・山形市・苫小牧市・富士吉田市・富士河口湖町、10月の北広島市と続きます。
都道府県別に見ると、北海道3市(稚内・苫小牧・北広島)、山形県1市、東京都、山梨県2市町(富士吉田・富士河口湖)、沖縄県7自治体(県+6市町村)です。これに施行日未確定の鹿児島市が控えます。同じ道県内でも施行日と税額の組み合わせが違うため、自館のほかに別の自治体でも施設を運営している場合は、施設ごとに準備の期限が変わります。
Q.沖縄の宿泊税はどんな仕組みか?
0.8%と1.2%。2027年2月から沖縄で徴収する宿泊税は、この2つの税率の足し算で動きます。県税は定率2%(上限2,000円)ですが、宿泊税を課す市町村の区域内では県税分が0.8%に下がり、市町村税1.2%と合算で2%にそろいます。宿泊者から見た負担率は県内どこでも2%で変わらず、県と市町村の取り分だけが変わる設計です。
| 自治体 | 税率 | 上限 | 総務大臣同意 |
|---|---|---|---|
| 沖縄県(県税単独の区域) | 2% | 2,000円 | — |
| 沖縄県(市町村税との併課区域) | 0.8% | — | — |
| 名護市 | 1.2%(県0.8%と合算で2%) | 1,200円 | 2026年6月30日 |
| 石垣市・宮古島市・本部町・恩納村・北谷町 | 1.2%(県0.8%と合算で2%) | 2,000円(合算) | 2026年2月13日 |
課税標準と免除の要点
- 石垣市など5市町村の条例では、課税標準は素泊まり料金です。千円未満は切り捨て、10万円を超える部分は10万円として計算します
- 学校教育活動等での宿泊は課税免除の対象です(5市町村条例)
- 名護市は2026年6月30日の総務大臣同意で、先行した5市町村(2026年2月13日同意)に追いつき、県税と同じ2027年2月1日に施行します
実務でつまずく点は、定率計算の元になる素泊まり料金の切り出しです。1泊2食のプランを販売している場合、食事分を除いた宿泊料金で税額を計算するため、プランごとの内訳をPMSで持っていなければ計算が成り立ちません。2月施行は2027年組の先頭で、準備に使えるのは2026年の残り5か月程度です。
Q.北海道の3市はどう変わるか?
北海道の2027年組は、施行日が3月・4月・10月の3つに割れています。稚内市が2027年3月1日に定額200円、苫小牧市が4月1日に定率3%(上限なし)、北広島市が10月1日に定率3%。3市とも2026年6月30日に総務大臣の同意を得ました。共通するのは、2026年4月から始まっている道税との併課です。
| 市 | 施行日 | 市税 | 道税(併課) | 合計の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 稚内市 | 2027年3月1日 | 定額200円 | 100〜500円(3段階) | 300〜700円 |
| 苫小牧市 | 2027年4月1日 | 定率3%(上限なし) | 100〜500円(3段階) | 3%+100〜500円 |
| 北広島市 | 2027年10月1日 | 定率3% | 100〜500円(3段階) | 3%+100〜500円 |
道税は宿泊料金2万円未満が100円、2万円以上5万円未満が200円、5万円以上が500円の3段階です(北海道「宿泊税税率一覧」)。合計欄はこの道税と市税を単純に足した目安で、たとえば稚内で1泊1万円なら市税200円+道税100円の300円になります。苫小牧市の条例には、修学旅行等の参加者と引率者、認定こども園・保育所等の行事参加者への課税免除があります(総務省報道資料)。
Q.4月1日に何が集中するのか?
2027年4月1日は、2月1日の沖縄7自治体に次いで5自治体が動く日です。東京都の改正と、山形市・苫小牧市・富士吉田市・富士河口湖町の新設が重なります。年度初めの繁忙とシステムの切り替えが同じ日に来るため、4月施行の地域では2027年3月が準備の山場になります。
東京都 ― 定額100/200円から定率3%へ
2026年7月1日公布の改正条例で、定率3%・1.3万円未満非課税への移行が確定しました。課税対象には簡易宿所・民泊が加わります。1泊2万円なら現行200円が600円に、1泊5万円なら200円が1,500円になる計算で、単価の高い施設ほど影響が大きくなります。免税点の税抜・税込判定と経過措置は未公表のため、確定は施行規則の公表待ちです。申告様式まで含めた詳細は東京都宿泊税2027改定にあります。
山形市、県内初の宿泊税は定率3%
山形市は定率3%で、山形県内で初めての宿泊税です。2026年7月3日に施行期日を定める規則が公布され、2027年4月1日の施行が確定しました。定額200円の自治体が多い中で、県内初がいきなり定率3%で始まる点が特徴です。
富士吉田市・富士河口湖町 ― 定額200円、富士山麓の2自治体
富士吉田市と富士河口湖町はどちらも定額200円で、2026年6月30日に総務大臣の同意を得ました。山梨県内の宿泊税はこの2市町が初めてです。富士山観光の宿泊圏が同じ日に足並みをそろえるため、両自治体にまたがって施設を持つ場合も税額の設定は1種類で済みます。
Q.鹿児島市はいつから始まるのか?
この問いには、2026年8月時点でまだ答えが出ていません。条例は2026年6月29日に公布済みですが、施行日は未確定です。条例上の施行日は「市長が規則で定める日」とされ、総務大臣の同意もこれからです。報道では2027年4月の施行をめざすと伝えられていますが、確定情報として扱えるのは条例の公布までです。
条例で確定している内容
- 税額は1人1泊200円の定額で、免税点を設けません。宿泊料金がいくらでも課税されます
- 住宅宿泊事業法の民泊も課税対象です
- 修学旅行等での宿泊は課税免除です
- 附則により、条例公布日に営業中の施設は施行日の5日前までに施設の申告義務があります
Q.施行日から逆算して、いつまでに何を終えるか?
準備の順番はどの自治体でも同じです。特別徴収義務者の登録、PMS・OTAの税額設定、フロント研修。この順に施行1か月前完了で逆算します。自館が沖縄の2月施行組なら2026年12月末、4月施行組なら2027年2月末が実質の締め切りです。登録申請の正式な期限と様式は自治体ごとに違うため、下表の締切は逆算の起点であり、確定は各自治体の案内で行ってください。
施行日から逆算する準備チェックリスト(締切は目安)
| やること | 締切目安 | 担当 |
|---|---|---|
| 所在自治体の条例・規則で施行日・税額・免除規定を確認 | いますぐ | 経理/総務 |
| 特別徴収義務者登録の申請方法・期限を自治体に確認し申請 | 施行3か月前 | 経理 |
| PMSベンダーに税額計算(定率3%・合算2%・道税併課など)の対応を確認 | 施行3か月前 | 情シス/支配人 |
| OTA各社(Booking.com・Expedia・楽天等)の税額表示・徴収方法を確認 | 施行2か月前 | 予約/レベニュー |
| 料金プランの内訳(素泊まり料金の切り出し)と領収書表記を再設計 | 施行1か月前 | レベニュー |
| フロント研修(税額計算・免除の判定・宿泊者への説明) | 施行1か月前 | 支配人/総務 |
| 初回の納入申告の提出フロー(eLTAX等)を経理部門で確認 | 施行月翌月末 | 経理 |
自治体タイプ別に追加で確かめること
- 沖縄の6市町村 ― 課税標準が素泊まり料金のため、食事付きプランの内訳データをPMSで持てるか。県税0.8%と市町村税1.2%を1回の徴収でまとめる運用か
- 北海道の3市 ― 道税との併課で、領収書に道税と市税をどう並記するか。道税は2026年4月から先に始まっているため、市税分の追加設定だけで済むか
- 東京都 ― 定額から定率への計算方式そのものの変更。免税点1.3万円の税抜・税込判定が未公表のため、施行規則の公表を待って最終設定
- 定額200円の自治体(稚内・富士吉田・富士河口湖) ― 計算は単純ですが、特別徴収義務者登録と申告フローの構築には定率の自治体と同じ工数がかかります
Q.システム改修の費用は補助金で賄えるか?
賄える場合があります。宿泊税を先に導入した自治体では、特別徴収義務者のシステム改修費を全額補助する例が続いてきました。宮城県は1施設150万円(超える分は事前協議)、高山市は100万円まで、下呂市は上限なし。いずれも補助率10割です。ただし3つとも導入時の年度限りの制度で、受付はすでに終わっています。2027年組でいま申請の窓口が開いているのは沖縄県です。
| 実施主体 | 補助率 | 上限(1施設) | 申請受付 | 状況 |
|---|---|---|---|---|
| 沖縄県 | 10割 | 200万円(標準) | 2026年3月1日〜11月30日 | 受付中 |
| 宮城県 | 10割 | 150万円(超過は事前協議) | 2025年4月1日〜2026年2月27日 | 受付終了 |
| 高山市 | 10割 | 100万円 | 2025年度限り | 受付終了 |
| 下呂市 | 10割 | 上限なし | 2025年度限り | 受付終了 |
沖縄県は全額補助を受付中 ― 2026年11月30日まで
沖縄県は「宿泊税への対応に向けたシステム改修等補助金」を設け、既存システムの改修、新規構築、ハードウェア・ソフトウェアの購入を補助率10割・標準上限1施設200万円で支援しています。対象は特別徴収義務者として登録申請している県内の宿泊事業者で、申請受付は2026年3月1日から11月30日まで。税額の算定機能や領収書への税額印字の追加など、宿泊税対応で発生する経費だけが対象です。名護市など市町村税分(1.2%)の改修をこの補助でどこまで賄えるかは事業案内に記載がないため、申請前に事務局への確認が必要です。
ほかの2027年組は補助の公表なし、東京都は交付金の拡充
稚内市・苫小牧市・北広島市・山形市・富士吉田市・富士河口湖町の同種の補助は、2026年8月7日時点で確認できていません。公表されるとしても、先行3自治体の例ではどれも導入時の年度限りで締め切られています。改修の発注前に、所在自治体の宿泊税ページと税務担当課で補助の予定を確かめてください。
東京都は改修費の補助ではなく、徴収する側の負担軽減で応じる形です。特別徴収交付金の上限を撤廃して納入額の2.5%を交付するほか、3か月ごとにまとめて申告できる特例の要件緩和と電子申告アプリの提供が公表されています。内容は東京都宿泊税2027改定で整理しています。
自治体の補助がないときは、国のデジタル化・AI導入補助金
自治体の補助がない、または締め切られていた場合の受け皿は、国のデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)です。PMS・予約管理システムの導入が典型用途で、補助率は枠により2分の1〜4分の3(小規模事業者のインボイス対応類型は最大5分の4)、補助額は枠により5万〜450万円。宿泊税対応の単体改修にとどめず、PMSの入れ替えごと補助に載せる選び方もあります。枠の構成と申請実務はIT導入補助金の宿泊業活用ガイド、他制度との比較は宿泊・観光の補助金 全国一覧にあります。なお自治体の補助では、他の補助金の対象になっている経費を対象外とする定めが置かれます(下呂市の要件など)。同じ改修費を国と自治体の両方に載せられるかは、申請前に要領で確かめてください。
よくある質問
Q1. 2027年に宿泊税が始まる自治体はどこですか?
施行日順に、2027年2月1日が沖縄県(県税)・名護市・石垣市・宮古島市・本部町・恩納村・北谷町、3月1日が稚内市、4月1日が東京都(改正)・山形市・苫小牧市・富士吉田市・富士河口湖町、10月1日が北広島市の計14自治体です。このほか鹿児島市が条例公布済みですが、施行日は未確定です。
Q2. 沖縄県と市町村の宿泊税は二重取りになりますか?
二重取りにはなりません。宿泊税を課す市町村の区域内では県税0.8%と市町村税1.2%を合算した2%で、県税単独区域の2%と同じ負担率にそろえる設計です。名護市は市税1.2%(上限1,200円)を県税0.8%と合わせて徴収します。
Q3. 北海道の3市では道税と合わせていくら納めますか?
北海道の道税は宿泊料金2万円未満100円・2万円以上5万円未満200円・5万円以上500円の3段階です。稚内市は市税定額200円との併課で1人1泊300〜700円、苫小牧市と北広島市は市税3%(定率)に道税の定額が上乗せされます。
Q4. 東京都の改正は予約済みの宿泊にも適用されますか?
他自治体の改定例では適用税率は宿泊日基準で決まるため、予約が改正前でも宿泊日が2027年4月1日以降なら定率3%が適用される可能性が高いです。ただし経過措置は2026年8月時点で未公表のため、確定は東京都の施行規則の公表を待つ必要があります。予約段階の税額案内は、どちらに転んでも対応できる文面が安全です。
Q5. 鹿児島市の宿泊税はいつから始まりますか?
施行日は未確定です。条例は2026年6月29日に公布済みですが、施行日は「市長が規則で定める日」とされ、総務大臣の同意もまだ得ていません。報道では2027年4月の施行をめざすと伝えられていますが、確定情報として扱えるのは条例の公布までです。
Q6. 盛岡市や那須町も2027年施行のグループですか?
違います。盛岡市と那須町はどちらも2026年10月1日施行で、2027年組より半年早く始まります。2026年施行分を含む全国の状況は宿泊税まとめ記事で整理しています。
Q7. 宿泊税の準備は何から始めればいいですか?
最初にやることは、所在自治体の条例・規則で施行日と税額を確かめることです。その後は特別徴収義務者の登録、PMS・OTAの税額設定、フロント研修の順で、施行1か月前にすべて終わるよう逆算します。登録の申請期限は自治体ごとに違うため、各自治体の案内で確認が必要です。
Q8. 宿泊税対応のシステム改修に補助金はありますか?
自治体によります。沖縄県は補助率10割・標準上限1施設200万円の補助を2026年11月30日まで受け付けています。宮城県・高山市・下呂市など先行自治体にも全額補助の前例がありますが、いずれも導入時の年度限りで受付を終えました。所在自治体に補助がない場合は、国のデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)がPMS・予約システムの改修を対象にしています。
