Q.宮崎市の宿泊税、まず何が始まったか?
2026年7月1日、宮崎市内の宿泊に1人1泊200円の宿泊税が加わりました。旅館・ホテル・簡易宿所に加えて住宅宿泊事業(民泊)も対象で、宿泊者の年齢を問わず、宿泊料金が発生する宿泊はすべて課税されます。宮崎県内の自治体で宿泊税を導入したのは、宮崎市が初めてです。
課税対象になる「宿泊料金」は、宿泊者が宿泊施設に支払う金額から、食事・宴会・客室以外の施設利用にあたる分と消費税相当額を除いた金額です。素泊まり相当の室料に200円が乗ると考えれば、日々の実務は足ります。
Q.修学旅行の団体予約も課税されるのか?
「学校行事の証明書を出せば免除になりますか」。宮崎市内で団体予約を扱うフロントには、この確認がすでに届いています。答えは、なりません。
総務省が2026年2月13日付でまとめた同意資料には、宮崎市宿泊税の「課税免除等」の欄に「なし」と明記されています。条例が置く緩和策は第10条の減免だけで、天災その他特別の事情がある場合に市長が個別に判断するものです。修学旅行、部活動の遠征、公務出張といった区分ごとの免除は設けていません。
この扱いは、同じ時期に動いた他の自治体と比べると際立ちます。2026年6月30日、総務省は苫小牧市・北広島市・稚内市・山形市・富士吉田市・富士河口湖町・名護市の7市町の宿泊税新設に同意しましたが、いずれも修学旅行等の参加者(引率者を含む)を課税免除としています。宮崎市の同意は同年2月13日で少し早く、この7市町とは免除の設計が逆になりました。
Q.条例公布から徴収開始まで、何が4か月半で動いたか?
宮崎市宿泊税条例(宮崎市条例第60号)は2025年9月18日に市議会で可決、9月26日に公布されました。総務大臣への協議は9月19日付、同意が下りたのは2026年2月13日です。施行規則(宮崎市規則第6号)は2026年3月6日に定められ、条例と規則がそろって2026年7月1日に施行されました。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2025.09.18 | 宮崎市議会で条例案可決 |
| 2025.09.19 | 総務大臣へ協議書提出 |
| 2025.09.26 | 条例公布(宮崎市条例第60号) |
| 2026.02.13 | 総務大臣同意 |
| 2026.03.06 | 施行規則制定(宮崎市規則第6号) |
| 2026.07.01 | 条例施行・徴収開始 開始済み |
総務大臣の同意から徴収開始までは、およそ4か月半でした。同時期に同意を受けた7市町の施行予定が2027年2月〜10月に分散しているのと比べると、宮崎市の準備期間は際立って短い日程でした。
条例の適用区分では、施行日以後の宿泊が課税対象で、施行日の前日から施行日にかけて行われる宿泊(6月30日にチェックインし7月1日にまたがる宿泊)は対象から除かれています。日をまたぐ予約だけを理由に課税の有無を切り分ける必要はなく、7月1日以降にチェックインした宿泊かどうかで判定できます。
Q.福岡市・熊本市・長崎市と何が違うのか?
修学旅行を課税するかどうかは、九州の中でも割れています。
| 自治体 | 課税免除の規定 | 根拠 |
|---|---|---|
| 福岡市 | なし(修学旅行生等の学生も課税対象) | 福岡市公式FAQ |
| 熊本市 | なし(外国大使等のみウィーン条約に基づき免除) | 熊本市公式サイト |
| 長崎市 | あり(修学旅行等・部活動大会の参加者。証明書提出が条件) | 長崎市公式サイト |
| 宮崎市 | なし | 総務省同意資料 |
福岡市・熊本市は宮崎市と同じく免除の規定を持たず、修学旅行も通常の宿泊者と同じ扱いです。長崎市だけが、学校長等が作成する証明書の提出を条件に、修学旅行・部活動の参加者を免除しています。福岡市・福岡県・北九州市の税額は税率と併課構造の違いが中心で、条文レベルで確認できる免除規定の情報は今回見つかりませんでした。
宮崎市の宿泊税には、福岡県・北海道のような都道府県税との併課もありません。2026年7月13日時点で宮崎県による宿泊税導入の動きは確認できず、宮崎市の宿泊税は単独課税です。PMS側の税目設定は1本で済みます。
Q.特別徴収の実務では何をするか? 申告納入と宿泊料金の範囲
宿泊税は特別徴収の方法で徴収します。特別徴収義務者は、原則として毎月末日までに、前月1日から末日までの宿泊分の宿泊税を申告納入します。
四半期ごとの申告納入に切り替える条件
直近12か月の宿泊税額の合計が240万円以下であること、特別徴収義務者になってから1年が経過していること、過少申告等の処分を受けていないこと、市税を滞納していないことなどの要件を満たし、市長の承認を受ければ、毎月ではなく四半期ごとの申告納入に切り替えられます。
- 12月1日〜2月末日分 → 3月末日までに申告納入
- 3月1日〜5月末日分 → 6月末日までに申告納入
- 6月1日〜8月末日分 → 9月末日までに申告納入
- 9月1日〜11月末日分 → 12月末日までに申告納入
2027年6月30日までの経過措置では、対象期間が3か月、上限額が60万円に緩和されています。開業したばかりの施設でも、この期間は申請しやすくなっています。
帳簿と罰則
宿泊税に関する帳簿は施設ごとに備え、申告した月の末日の翌日から3か月を経過した日を起点に5年間保存します。売上伝票など関係書類は同じ起点から2年間です。正当な理由なく記載をしなかったり虚偽の記載をしたりすると、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。
Q.フロントと経理が今すぐ確認すべきことは?
徴収が始まって12日が経ちました。自館で確認しておきたい実務は、次のとおりです。
| タスク | 確認先 |
|---|---|
| 団体予約の電話・メール窓口に「証明書があっても免除されない」の一言を用意する | 予約/フロント |
| 領収書・請求書の様式で、宿泊料金と宿泊税を分けて表記できているか確認する | 経理 |
| 6月中に受けて7月以降チェックインの既存予約に、宿泊税分の追加案内を送る | 予約 |
| 直近12か月の宿泊税額を集計し、四半期申告への切り替えが可能か確認する | 経理 |
| 帳簿の保存期間(5年/2年)と記載事項が、条例第14条の要件を満たしているか確認する | 経理/総務 |
特別徴収義務者の届出様式や申告納入の具体的な進め方は、市によって様式・期限が異なります。共通の流れは宿泊税 届出・eLTAX申告ガイドで確認できます。
