Q.この事業は何のための制度か?

2026年7月1日、観光庁が令和8年度『ブルーツーリズム推進支援事業』の二次公募を始めました。事業の趣旨は、ALPS処理水の海洋放出による風評への対策として、海の魅力を高めるブルーツーリズムを推進し、国内外からの誘客と観光客の定着を図ることにあります。対象は岩手・宮城・福島・茨城の4県で、この海沿いの地域が海の集客を立て直す取組を後押しする制度です。

令和8年度 ブルーツーリズム推進支援事業 補助率
8/10
補助対象経費に対して
所管: 観光庁観光地域振興課。数値はすべて公募要領(令和8年度)による(※1)。

事業の趣旨・背景

公募要領は事業の趣旨をこう記しています。「本事業はALPS処理水の海洋放出による風評への対策として、海の魅力を高めるブルーツーリズムを推進し、国内外からの誘客と観光客の定着を図ることが目的です」。海への不安が根強く残るなかで、海水浴・体験・食といった海そのものの価値を磨き直し、人を呼び戻して定着させることに国費を充てる、という位置づけです(※1)。

支援メニューは4本柱

公募要領は、推進計画に位置づけた次の取組を支援するとしています(※1)。

  • ①海水浴場等の受入環境整備
  • ②海の魅力を体験できるコンテンツの充実
  • ③海にフォーカスしたプロモーション
  • ④ビーチ・マリーナ・観光船舶を対象とした環境認証(ブルーフラッグ認証)の取得に向けた取組
一次公募は終了:令和8年度の一次公募は2026年3月11日〜4月20日で受付を終えています。現在受付中なのは二次公募(7月1日〜7月31日18時必着)です。制度全体の背景は観光庁のブルーツーリズム推進支援事業のページで確認できます。

Q.いくら出て、いつまでに出すか?

補助率は8/10です。上限は総事業費3,000万円が目安で、取組のうち海水浴場等の受入環境整備で施設・設備の改修を含む場合は5,000万円が目安になります。ここは金額が変わる分かれ目なので、自館のエリアがハード整備まで踏み込むのか、体験づくり中心でいくのかで、狙える規模が変わります(※1)。

補助率
8/10
補助対象経費に対して
補助上限額(目安)
3,000万円
施設・設備の改修を含む場合は5,000万円が目安
二次公募 締切
7月31日18時 必着
2026年。これを過ぎると応募不可
事業完了
2027年3月19日
交付決定後から(原則)

プロモーション経費には上限の縛りがある

③海にフォーカスしたプロモーションに係る経費は、総事業費の5割未満に収める必要があります。広告や情報発信だけで計画を組むことはできず、受入環境の整備や体験づくりといった中身の取組が主役になる設計です(※1)。集客の告知にどれだけ費やすかは、この5割未満の枠から逆算して決めます。

締切の逆算:二次公募の締切は2026年7月31日18時必着です。申請書類を出すのは市町村・観光協会・登録DMOなので、自館が相乗りするには、その前に地元の推進計画へ加わり、担う取組を計画に記載してもらう必要があります。7月13日時点で、地元がまだ動いていないなら、まず申請主体になれる先へ連絡するところから始めます。

Q.誰が申請できるのか? 宿の単独では出せない

この補助金は、宿が自分の名前で単独で申請することはできません。公募要領は申請者を「岩手県、宮城県、福島県及び茨城県における市町村、観光協会及び観光地域づくり法人(DMO)登録制度において登録された者」と定めています。つまり、申請の主役は自治体・観光協会・登録DMOで、自館はその計画に加わる立場です(※1)。

立場誰が該当するかできること
申請者(申請主体)4県の市町村・観光協会・登録DMO関係者の合意を得て策定したブルーツーリズム推進計画を観光庁へ提出する
補助対象事業者推進計画に位置づけられた事業者(宿泊事業者を含む)計画に沿った取組の実行を担い、その経費が補助の対象になる
連携先・協力者地域の観光関連事業者・住民団体など合意形成や役割分担に加わり、計画の実効性を支える

複数の市町村にまたがってもよい

公募要領の留意点では、複数の市町村にまたがる取組も対象とされています。ただし、それぞれの地方公共団体との連携を確保することが条件です(※1)。海岸線がいくつかの市町村をまたぐ地域なら、隣接する自治体・DMOと組んで広い面で計画を立てる選択肢もあります。

「相乗り」の意味:地域の推進計画に自館の取組が位置づけられれば、その経費の8/10が国費で賄われます。自館が単独で補助金を取りに行くのではなく、地元の市町村・観光協会・登録DMOが出す計画の中で、海の体験や受入環境の担い手として役割を持つ。これが、自館がこの制度から恩恵を受ける実際の入口です。

Q.何が補助対象になるか? 4本柱を宿の目線で読む

海の宿として、何にこの補助金を使えるか。公募要領は支援メニューを4本柱で示しており、なかでも「②海の魅力を体験できるコンテンツの充実」は、自館が担い手になりやすい取組です。次の表で、4本柱を海沿いの宿の目線に置き換えて整理します(※1)。

支援メニュー取組の例宿との接点
①海水浴場等の受入環境整備海水浴場まわりのシャワー・更衣室・トイレ・案内サイン・休憩スペースの整備。施設・設備の改修を含む場合は上限5,000万円が目安海水浴場に近い宿が、着替え・手荷物・休憩の受け皿になる。ハード整備は自治体主導で計画に組む
②海の魅力を体験できるコンテンツの充実SUP・シーカヤック・釣り・磯観察・漁業体験・海の食文化を伝える取組など。海に入らないコンテンツも対象宿が体験の実行主体になりやすい。滞在に体験を組み込み、宿泊の理由をつくる
③海にフォーカスしたプロモーション海の魅力を伝える情報発信。ただし総事業費の5割未満に収める地域の発信に自館の体験・食を載せる。告知だけで計画は組めない
④ブルーフラッグ認証の取得に向けた取組ビーチ・マリーナ・観光船舶を対象とした環境認証の取得に向けた取組認証ビーチに近い宿として、安全・環境の基準づくりに加わり、外から見た安心材料にする

海に入らない体験も対象になる

公募要領は「海に入らないコンテンツも対象」と明記しています(※1)。泳ぐ体験に限らず、浜辺でのヨガ、磯の生きもの観察、地元漁師と回る朝市、海の食をテーマにした滞在など、海の魅力を高める取組であれば計画に位置づけられます。夏の海水浴シーズンだけでなく、通年で海を売る商品づくりに広げられる余地があります。

補助対象にならない主な経費

次の経費は対象外です。宿の日常運営とまぎらわしいものを含むので、計画づくりの前に確認しておきます(※1)。

  • 経常的な経費(運営に係る人件費・旅費、事務所等の家賃・保証金・敷金・光熱水費・通信料など)
  • 交付決定を受ける前に支払われた経費
  • イベントの景品等の購入費、クーポンや乗車船の割引原資
  • 国その他の行政機関から別途補助金・支援金・委託費等が支給されている(または予定されている)経費
  • 次年度以降に継続した効果が見込まれず、単年度で終了する取組の経費(前年度以前と同様の取組を含む)
  • 電車・バス・タクシーなどの運行等に係る経費、物品購入が主目的の事業の物品購入費
  • 車両購入費(水陸両用車椅子は除く)、個人の免許取得費
日常の運営費・単発の取組は不可:自館の通常の人件費・光熱水費や、その年だけで終わってしまう単発の取組は対象になりません。公募要領は「次年度以降も継続して効果が見込まれること」を求めており、補助金が切れても続く商品として設計することが前提です。他の国費補助金と同じ経費を重ねて出すこともできません。

Q.海沿いの宿はどう相乗りするか?

宿がこの制度から恩恵を受ける入口は、地域のブルーツーリズム推進計画に自館の取組を位置づけてもらうことにあります。申請の主役は自治体・観光協会・登録DMOでも、実際に海の体験を回すのは現場の宿です。自館が担える役割を早めに示せば、計画の中身が具体的になり、審査でも実効性を評価されやすくなります(※1)。

宿の関わり方

  • 海の体験コンテンツの担い手になる ― SUP・釣り・磯観察・漁業体験・海の食を、自館の滞在プランに組み込む。②の実行主体として計画に入る、最も動きやすい関わり方
  • 受入環境整備に施設を差し出す ― 海水浴場に近い自館が、着替え・手荷物預かり・休憩・案内の受け皿になる。ハード整備は自治体主導で計画に組む
  • ブルーフラッグ認証の取組に地元事業者として加わる ― 認証ビーチに近い立地なら、安全・環境の基準づくりに参画し、外から見た安心材料にする
  • 合意形成の場に現場の声を持ち込む ― 直接の補助を受けなくても、混雑・安全・海の使い方の議論に宿の実感を反映させ、地域全体の受入力を底上げする

集客の立て直しは「次のシーズン」から

採択の内定は9月上旬、事業完了は2027年3月19日(原則)です。二次公募で採択されても、事業に着手できるのは秋以降になります。この夏ではなく秋以降から次のシーズンに向けて、海の体験を磨き、来季の予約商品として売る。この時間軸で考えると、夏の海水浴一本に頼らず、秋・冬・春の海の楽しみ方まで含めて商品化する計画が、自館の集客の立て直しにつながります(※1・※2)。

補助金が切れても続く形に:審査では「将来的に補助金に頼らず、自走していくことが可能となる事業であること」が見られます。自館が担う体験も、補助期間だけの打ち上げ花火ではなく、通年で予約が入る商品として設計しておくと、計画全体の評価にも自館の売上にも効きます。

Q.7月31日までの動き方と審査で見られる点は?

令和8年度の二次公募は、2026年7月31日(金)18時必着で地域の公募を締め切り、9月上旬に採択地域の内定通知、その後に交付決定・事業開始という流れです。申請書類はメールで観光庁へ提出します。提出するのは申請主体である市町村・観光協会・登録DMOなので、自館は地元の申請主体と足並みをそろえて動くことになります(※1・※2)。

二次公募(2026年7月31日)までにやること

やること 締切 担当
地元の市町村の観光主管課・観光協会・登録DMOに、二次公募への申請予定と、自館が推進計画に入れるかを確認する 至急 経営者
自館が担える海の体験・受入設備・食の取組を1枚にまとめ、推進計画への記載を依頼する 2026年7月中旬 経営者/現場
申請主体がブルーツーリズム推進計画と様式一式をメールで観光庁へ提出する(件名の冒頭は「〇県○市_提案団体名_提案事業名」、提出後は電話連絡) 2026年7月31日 18:00 必着 申請主体
内定(9月上旬)後、交付決定を待って着手し、2027年3月19日までに事業を完了する 2027年3月19日 申請主体/自館

審査で見られる5つの観点

公募要領は、提出されたブルーツーリズム推進計画を有識者が次の観点で審査するとしています(※1)。自館が担う取組を計画に載せてもらうときは、この観点に沿った説明を用意しておくと通りやすくなります。

  • 目指す地域の姿及び課題設定 ― ALPS処理水の海洋放出による風評への対策として、海岸周辺地域の課題とこれまでの取組が具体的に示されているか
  • 実施体制及び役割分担 ― 関係団体の協力が得られた体制が組まれ、連携による相乗効果が見込まれるか
  • スケジュール及び計画性 ― 実施スケジュールが具体的で、年度内に取組が完了し効果が見込まれるか
  • 取組内容 ― 取組が具体的で、適切なKPIが設定され、その値が望ましい方向へ向かうか
  • 効果の継続性 ― 次年度以降も効果が見込まれ、将来は補助金に頼らず自走できるか
間に合わないときの選択肢:地元の申請主体が二次公募に動いていない、あるいは計画がすでに固まっていて入る余地がない場合は、次年度以降の公募や別の制度を検討します。海の宿が使える他の補助金は観光地再生・高付加価値化推進事業小規模事業者持続化補助金宿泊・観光の補助金 全国一覧で整理しています。

Q.よくある質問

Q1. 宿泊事業者だけで申請できますか?

できません。公募要領で申請者は、岩手県・宮城県・福島県・茨城県における市町村、観光協会、観光地域づくり法人(DMO)登録制度に登録された者と定められています。自館は補助対象事業者として、地域のブルーツーリズム推進計画に加わる形で参画します。地元の市町村・観光協会・登録DMOと組むのが前提です(※1)。

Q2. 補助率と補助上限はいくらですか?

補助率は8/10です。上限は総事業費3,000万円が目安で、取組のうち海水浴場等の受入環境整備で施設・設備の改修を含む場合は5,000万円が目安になります。海にフォーカスしたプロモーションに係る経費は、総事業費の5割未満に収める必要があります(※1)。

Q3. 二次公募の締切はいつですか?

令和8年度の二次公募は2026年7月1日(水)から7月31日(金)18時必着です。採択地域の内定通知は9月上旬、事業実施は交付決定後から2027年3月19日まで(原則)です。一次公募は2026年3月11日から4月20日で終了しています(※1・※2)。

Q4. 海に入らない体験でも補助対象になりますか?

対象になります。公募要領の留意点に「海の魅力を高める取組には、海に入らないコンテンツも対象とします」と明記されています。磯観察・浜辺でのヨガ・漁業体験・海の食文化を伝える取組なども、海の魅力を体験できるコンテンツの充実として計画に位置づけられます(※1)。

Q5. 対象になる県はどこですか?

岩手県・宮城県・福島県・茨城県の4県です。本事業はALPS処理水の海洋放出による風評への対策として、海の魅力を高めて誘客と定着を図る事業のため、この4県の海沿い地域が対象になります。複数の市町村にまたがる取組も、それぞれの地方公共団体との連携を確保すれば対象です(※1)。

Q6. この夏の集客に間に合いますか?

二次公募の採択内定は9月上旬、事業完了は2027年3月19日(原則)です。この夏の直接の集客には使いにくく、秋以降から次のシーズンに向けた海の体験商品づくりに向いています。造成した体験を来季の予約商品に載せれば、集客の立て直しにつながります(※1・※2)。

Q7. 他の補助金と重ねて使えますか?

同一の経費に、国その他の行政機関から別途補助金・支援金・委託費等が支給されている(または予定されている)場合、その経費は対象外です。経費を切り分けて別個の取組として設計すれば、併用の余地はあります。制度ごとの使い分けは観光DX補助金まとめを参照してください(※1)。