オーダリングシステムの3タイプ
飲食店の注文を取る仕組みは、紙の伝票からデジタルに移行が進んでいます。現在主流のオーダリングシステムは、大きく3つのタイプに分かれます。
| タイプ | 概要 | 代表的な利用シーン |
|---|---|---|
| ハンディ端末型 | スタッフが小型端末を持ち歩き、テーブルで注文を入力 | 居酒屋、ファミレス、中〜大型の飲食店 |
| テーブルタブレット型 | 各テーブルに設置されたタブレットからお客様が直接注文 | 焼肉店、回転寿司、大型居酒屋チェーン |
| セルフオーダー型(モバイル) | お客様がスマホでQRコードを読み取り、自分の端末から注文 | カフェ、バー、小規模飲食店 |
どのタイプを選ぶかで、初期投資の金額、スタッフの配置人数、お客様の体験が変わります。それぞれの特徴を具体的に見ていきます。
ハンディ端末型の特徴
メリット
- 接客品質を維持できる: スタッフがテーブルに伺って注文を取るため、おすすめの提案やアレルギー確認など対面のコミュニケーションが保たれる
- 注文ミスが減る: 手書き伝票の読み間違いがなくなり、キッチンへの伝達が正確になる
- 追加オーダーの促進: スタッフがタイミングよく声をかけることで、ドリンクやデザートの追加注文が増える
デメリット
- 端末の台数分のコスト: スタッフの人数分の端末が必要。1台3〜8万円 x 台数
- スタッフの操作研修が必要: 端末の操作を覚えるまでの教育コスト
- 人件費は下がらない: 注文はスタッフが取るため、省人化にはつながりにくい
向いている業態
接客を差別化の要素にしている飲食店(高単価の居酒屋、割烹、ダイニングレストラン等)に適しています。「料理の説明を聞きたい」「おすすめを聞きたい」というお客様が多い業態では、スタッフが注文を取ることがサービスの一部です。
テーブルタブレット型の特徴
メリット
- 注文を待たせない: お客様がタブレットで即座に注文できるため、「すみません」と呼んで待つストレスがなくなる
- 省人化に直結: 注文を取る作業がなくなるため、ホールスタッフを減らせる。席数50席の居酒屋で1〜2名削減した事例あり
- 客単価が上がりやすい: メニュー写真を見て追加注文するハードルが下がるため、客単価が5〜15%上昇する傾向がある
- 多言語対応が容易: タブレット上で言語を切り替えられるため、インバウンド客への対応負荷が減る
デメリット
- 初期費用が高い: タブレット1台3〜5万円 x テーブル数。50席の場合、15〜25台で45〜125万円
- 故障・盗難リスク: お客様が操作するため、液体をこぼす・落とすリスクがある。防水ケースは必須
- 対面の接客が減る: スタッフとの接点が配膳・下膳のみになり、接客を重視する業態には不向き
向いている業態
焼肉店・しゃぶしゃぶ店・回転寿司など、お客様が自分のペースで頻繁に追加注文する業態に最適です。食べ放題・飲み放題の店舗では、スタッフの注文対応負荷が大きいため、タブレット化の効果が特に大きくなります。
セルフオーダー型(モバイル)の特徴
メリット
- 初期費用が非常に低い: お客様のスマートフォンを使うため、店舗側はQRコードの印刷だけで済む。月額利用料のみで始められるサービスが多い
- テーブル数に依存しない: タブレットの購入・管理が不要なため、席数の増減に柔軟に対応できる
- 衛生的: 共有のタブレットに触れる必要がなく、感染症対策としても機能する
デメリット
- スマホ操作に不慣れなお客様への対応: 高齢のお客様やスマートフォンを持っていないお客様には別の注文方法を用意する必要がある
- 通信環境への依存: お客様のスマートフォンの通信状態に左右される。店舗Wi-Fiの提供が事実上必須
- 注文体験のコントロールが難しい: お客様のスマートフォンの画面サイズや通信速度はバラバラで、一定の体験を保証しにくい
向いている業態
初期投資を抑えたい小規模飲食店、カフェ、バー、ワインバーに適しています。客層が20〜40代でスマートフォンの利用率が高い店舗では、違和感なく受け入れられます。
3タイプの総合比較
| 比較項目 | ハンディ端末 | テーブルタブレット | セルフオーダー(モバイル) |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 15〜50万円 | 50〜150万円 | 0〜5万円 |
| 月額費用 | 0.5〜2万円 | 1〜3万円 | 0.5〜2万円 |
| 省人化効果 | 小さい | 大きい | 中程度 |
| 客単価への影響 | スタッフの力量次第 | 上がりやすい | やや上がる |
| 接客品質 | 維持できる | 低下しやすい | 低下しやすい |
| 高齢客への対応 | 問題なし | 画面設計次第 | 対応策が必要 |
| インバウンド対応 | スタッフの語学力次第 | 多言語メニューが容易 | 多言語メニューが容易 |
選び方のフローチャート
Q1: 接客を店の売りにしているか?
はい → ハンディ端末型
いいえ → Q2へ
Q2: 席数は30席以上あるか?
はい → テーブルタブレット型を優先検討
いいえ → Q3へ
Q3: 初期費用を10万円以下に抑えたいか?
はい → セルフオーダー型(モバイル)
いいえ → ハンディ端末型とセルフオーダー型を比較検討
補足: 3タイプは排他的ではなく、組み合わせて使うこともできます。例えば「テーブルタブレットを基本にしつつ、高齢のお客様にはスタッフがハンディで対応する」という運用は、チェーン居酒屋で多く見られるパターンです。
