ホテルの繁忙期・閑散期は施設タイプで異なる

「ホテルの閑散期はいつか」という問いに対する答えは、施設タイプによって異なります。都市型ビジネスホテルは平日のビジネス需要が中心で、リゾートホテルは休日・連休の観光需要が中心、温泉旅館は季節と曜日の両方が影響します。

本記事では、都市型ビジネスホテル・リゾート観光ホテル・温泉旅館の3タイプに分けて、2026年の月別需要カレンダーを整理しました。需要レベルは3段階で表示しています。

繁忙期(稼働率80%超が見込まれる月) 通常期(稼働率60〜80%程度) 閑散期(稼働率60%未満になりやすい月)

需要レベルは観光庁「宿泊旅行統計調査」2024年確報値および2025年速報値を基に、2026年の祝日配列を反映して算出。施設規模・立地により実際の稼働率は異なります。

都市型ビジネスホテルの年間需要カレンダー

ビジネス需要が中心のため、平日と休日の差が大きい傾向にあります。大型連休・年末年始はビジネス客が減少し、観光客への切り替えが必要です。

1月
閑散期
年始休暇明け。ビジネス需要の立ち上がりが遅い
2月
閑散期
年間で最も稼働が低い月。研修需要がやや下支え
3月
通常期
年度末の出張増。卒業旅行の観光需要も加わる
4月
通常期
新年度開始。研修・異動に伴う宿泊需要
5月
通常期
GW期間は観光客で高稼働。GW明けは反動減
6月
繁忙期
株主総会シーズン。展示会・学会も集中
7月
通常期
前半はビジネス、後半は夏休みで観光にシフト
8月
閑散期
お盆期間以外はビジネス需要が大幅減。お盆は観光で補う
9月
繁忙期
秋の展示会・学会シーズン。シルバーウィークの観光需要
10月
繁忙期
ビジネス需要のピーク月。出張・会議が最も多い
11月
繁忙期
引き続きビジネス需要が高水準。紅葉シーズンの観光需要も
12月
通常期
前半はビジネス需要あり。年末にかけて急減

リゾート・観光ホテルの年間需要カレンダー

個人の余暇旅行が中心のため、連休・夏休み・年末年始に需要が集中します。平日の稼働率をいかに上げるかが通年の課題です。

1月
通常期
年始の帰省需要。1月中旬以降は急減
2月
閑散期
スキーリゾート以外は年間最低。冬の沖縄もオフ
3月
通常期
春休み・卒業旅行で後半に回復。桜前線で地域差
4月
通常期
花見需要。GW前半がスタート
5月
繁忙期
GW集中。2026年は5/2〜6の5連休で高稼働
6月
閑散期
梅雨期。屋外型リゾートは苦戦。北海道は例外的に好調
7月
繁忙期
夏休み開始。海水浴・マリンリゾートがピーク入り
8月
繁忙期
年間最高稼働月。お盆は予約が数ヶ月前に埋まる
9月
繁忙期
シルバーウィーク。残暑のビーチ需要と初秋の高原需要が重なる
10月
繁忙期
紅葉シーズン。気候が良く、全国的に観光需要が高い
11月
通常期
紅葉後半。11月下旬から冬の端境期に入る
12月
繁忙期
クリスマス・年末年始。スキーリゾートの本格シーズン開始

温泉旅館の年間需要カレンダー

温泉旅館はリゾートホテルと似た季節性を持ちますが、冬場(温泉需要)と週末・連休への依存度がさらに高い特徴があります。

1月
繁忙期
年始の温泉需要。冬の露天風呂人気で高稼働
2月
通常期
冬の温泉需要は継続。ただし平日の集客が課題
3月
通常期
春休み需要。雪解けの端境期で地域により差がある
4月
閑散期
花見エリア以外は需要低迷。GW前の谷間
5月
繁忙期
GW集中。新緑の露天風呂需要
6月
閑散期
梅雨期で年間最低水準。平日はほぼ空室
7月
通常期
夏休み前半。海やリゾートに流れるため温泉はやや弱い
8月
繁忙期
お盆を中心に高稼働。家族連れの温泉需要
9月
通常期
シルバーウィークのみ高稼働。残暑で温泉離れ
10月
通常期
紅葉+温泉の組み合わせで週末は好調。平日との差が大きい
11月
繁忙期
紅葉ピーク。寒さが増し温泉需要が本格化
12月
繁忙期
忘年会需要。年末の温泉旅行。カニ解禁エリアは特に好調

閑散期に取るべき3つの施策

閑散期の稼働率低下を放置すると、固定費(人件費・光熱費・リース料)の負担が重くなります。以下の3つの施策を組み合わせて、閑散期の底上げを図ってください。

施策1: 平日限定プランの造成

閑散期の平日に特化した料金プランを設計します。単純な値下げではなく、付加価値を加えたパッケージ(例: 平日限定の部屋食プラン、連泊割引、ワーケーションプラン)で単価を維持しながら稼働率を上げることが重要です。OTAの「早割」「直前割」機能も活用してください。

施策2: 法人・団体需要の開拓

リゾートや温泉旅館は個人客に偏りがちですが、閑散期には企業研修・合宿・福利厚生の受け入れが有効です。会議室・Wi-Fi・プロジェクター等のビジネスインフラを整備し、法人向けの専用ページを用意することで、平日の新規需要を取り込めます。

施策3: 地域イベント・体験プログラムとの連携

地域の祭り、収穫体験、ワイナリーツアー、トレッキングなど、その土地ならではの体験を宿泊プランに組み込みます。観光協会や地元事業者との連携により、「閑散期だからこそ楽しめる体験」を打ち出すことで、価格以外の来訪動機を作ります。

閑散期の値下げは短期的な稼働率改善には有効ですが、繁忙期の正規料金に対する顧客の価格期待を下げるリスクがあります。値下げ幅は正規料金の20〜30%以内に抑え、プラン名や販売チャネルを分けることで、レートパリティへの影響を最小化してください。

繁忙期の収益最大化ポイント

繁忙期は「売れるから安心」ではなく、収益を最大化する施策を打つ時期です。稼働率が高い時期こそ、単価と付帯売上の両面で収益を伸ばすチャンスです。

料金戦略

オペレーション

繁忙期と閑散期の施策は連動しています。繁忙期に獲得した顧客に対して、閑散期のリピーター割引を案内する仕組み(メール配信、会員制度等)を整えておくと、年間を通じた稼働率の安定につながります。

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