見積もりの合計欄を前に、桁の根拠が読めないとき
「LLMO対策 一式 ◯◯万円」。マーケ担当が持ってきた見積書の合計欄を見て、この桁が高いのか妥当なのか判断がつかない。同業に聞いても金額はバラバラで、検索しても相場の一本値は出てこない。決裁の前に、まず何を確かめればいいか。
金額の高い安いを比べる前に、その金額が「何を測り・何を作り・どこまで面倒を見る約束か」を読めるかどうかで、受けるか削るか断るかが決まります。LLMOはLLM Optimizationの略で、ChatGPTやGeminiといったAI検索で自施設が推薦されるように整える取り組みです。その費用がなぜ会社ごとに数倍違うのかを、見積もりの中身から分解して読み方を示します。
「相場」の一本値は存在しない ── 公開されている価格の実例
LLMO対策に決まった相場はありません。リスティング広告のクリック単価のような目安がなく、各社が自社の価格を自社サイトで公開しているだけです。まず、公開されている価格をそのまま並べます。
| 提供元 | 公開価格 | 測る・作る範囲 |
|---|---|---|
| ai-search.techsuite.co.jp | 診断 40万円〜 | AI検索での見え方の診断 |
| three-dots.co.jp | 月額 15万円〜 | LLMO対策(継続) |
| ビジネスブレーン(当社) | 無料診断 / FAQ起点の診断+提案 20万円〜 / 継続コンテンツ制作 月額5万円〜 | 診断・分析・継続 |
出典: 各社の公開サイト(ai-search.techsuite.co.jp、three-dots.co.jp、miyako.com/aio/)。2026年6月時点。いずれも各社が自社サイトで公開している自社の価格で、相場を裏づける数字ではありません
ただし、この3社の金額を横に並べて安い高いを比べないでください。同じ「40万円」でも、一度きりの診断なのか継続の初月なのかで意味がまったく変わります。相場がないのは、LLMO対策が「診断だけ」「情報整備まで」「継続のモニタリング込み」「公式サイトの改修込み」と、含む作業の幅が数倍違うためです。作業範囲が違うものを同じ「LLMO対策」という名前で呼んでいるので、金額だけを並べても比較になりません。
見積もりは「初期一括」と「継続」の2本立てで読む
見積もりを読むとき、まず費用を初期一括と継続の2つに分けます。この2つは性質が違い、片方しか書かれていない見積もりは中身が抜けている可能性があります。
初期一括に入るもの(一度の作業)
- 現状診断: ChatGPT・Gemini・Perplexityなどで、自館がどう表示されるかを測る
- 情報整備: 公式サイトのテキストを、AIが読み取れる具体の記述に書き直す
- 構造化データ(schema.org)の実装: 住所・設備・料金帯などを、AIが正確に読める形にする
- 競合比較と改善提案レポート
- 規模が大きい場合は、公式サイト自体の改修
継続に入るもの(毎月の作業)
- モニタリング: AIのモデルは更新され、推薦される施設が入れ替わります。初期対策で推薦に入っても数か月後に外れることがあるため、月1回以上の定点観測が要ります
- コンテンツ追加: 桜の時期や年末年始など、旅行者が検索するタイミングに合わせてエリア+ニーズの情報を足す
- ダッシュボードでの可視化と、月次の改善提案
初期一括だけの見積もりは「一度やって終わり」の前提で組まれています。AIの推薦は更新のたびに動くため、継続の欄がない見積もりは、効果が消えても気づけない設計になっています。逆に、月額だけで初期の情報整備が薄い見積もりは、土台を作らないまま毎月の運用費を払い続ける形になります。まずこの2欄が両方あるかを確かめてください。
なぜ同じ「LLMO対策」で金額の桁が変わるのか
同じ名前でも金額が数倍違うのは、次の要因で作業量が変わるためです。見積もりの桁に納得できないときは、この5つのどれが効いているかを聞いてください。
- 施設数: 1施設だけか、複数館か。多くの見積もりは「1施設あたり」で、館数分だけ積み上がります(当社の公開プランも1施設あたりの表示です)
- 対象言語: 国内客だけを見るか、訪日客の英語・中国語での見え方まで見るか。多言語は測る回数が増え、その分だけ費用が上がります
- 既存サイトの状態: 構造化データがすでに入っているか、ゼロから実装するか。土台があるほど初期の作業は軽くなります
- 作業範囲: 提案書までか、実装作業まで含むか。提案だけと実装込みでは工数が違います
- 公式サイトの改修の有無: 既存サイトを直すか、作り直すか。作り直しが入ると桁が一つ上がります(当社でもサイトの制作・改修は300万円〜で、診断や分析とは別の帯です)
この5つのどれを含むかを揃えないと、診断だけの見積もりと、実装や改修まで含む見積もりは比較になりません。金額の差を見たら、まず「範囲の差」を疑ってください。
安い見積もりで抜けがちな項目と、抜けたときの実害
同業より安い見積もりが悪いとは限りません。ただし、安さの理由が「必要な作業を外している」ことである場合があります。次の項目が見積書に書かれているかを確かめてください。抜けたときに現場で何が起きるかを、それぞれに添えます。
- 継続モニタリングが入っているか ── 抜けると、初期対策の効果がAIの更新で消えても検知できず、数か月後に推薦から外れたことに気づけません
- 3エンジンを横断して測るか、1エンジンだけか ── ChatGPTで出てもGeminiでは出ないことが珍しくなく、1エンジンだけの測定では見えない客層が残ります
- 構造化データが「提案」止まりか、「実装」まで含むか ── 提案書だけ受け取っても、実装作業が別料金だと現場で止まり、レポートが棚に眠ります
- 効果測定の方法が書かれているか ── 対策前と対策後をどう測るかが決まっていないと、払った後で「効いたか」を誰も判定できず、継続の可否を決められません
- 作業分担が明記されているか ── サイト更新が施設側の宿題として残ることが多く、分担が曖昧だと、見積もりに含まれない作業が現場に降ってきます
これらが「オプション」「別途見積もり」になっている場合、合計金額は見積書の本体価格より膨らみます。安い本体価格に釣られる前に、抜けた項目を足したときの総額で比べてください。
費用を抑える手順 ── 外注する前に自力範囲を広げる
費用を下げる一番確実な方法は、値引き交渉ではなく、外注する範囲を狭めることです。施設側で先にできることを済ませておけば、外注は「自力では難しい設計と構造化」だけに絞れます。この順で進めてください。
- まず現状を自分で測る。ChatGPT・Gemini・Perplexityで、想定するゲストの質問(「◯◯温泉 おすすめ 旅館」「△△駅 出張 ホテル」など)を自分で打ち、自館が出るかを記録します。何が足りないかを先に把握すれば、見積もりの必要範囲が絞れます。当社の無料AI検索診断(3エンジン・1営業日でメール)でも、この現状把握を代わりに行えます
- 構造化データは無料ツールで一部を自作する。住所・設備・料金帯などの基本情報は、当社の構造化データ無料作成ツールで作れます。外注の「実装作業」の一部を自力に寄せられます
- FAQと公式サイトのテキストは施設側で書く。フロントでよく聞かれる質問と答えは、現場が一番詳しく書けます。外注は、その原稿をAIが読める形に設計・構造化する部分に絞れます
- 継続は小さく始める。最初から大きく契約せず、月次の最小構成で始めて、効果を見てから広げます
この順で自力範囲を広げると、外注に払う初期一括は「診断+設計+構造化の実装」に絞られ、継続は効果を見ながら足せます。見積もりを受ける前に外部の相談先を比べたい場合は、ホテルコンサルタントに相談する前に確認したいこと、旅館の場合は旅館・宿泊施設のコンサルに相談する前に確認したいことに、相談先の選び方をまとめています。LLMO対策そのものの基本はホテルのAI検索対策とはを参照してください。
よくある質問
LLMO対策の費用の相場はいくらですか
決まった相場はありません。各社が自社の価格を自社サイトで公開しているだけです。例として、AI検索の診断で40万円〜(ai-search.techsuite.co.jp)、継続のLLMO対策で月額15万円〜(three-dots.co.jp)、当社では無料診断とFAQ起点の診断+提案20万円〜があります。いずれも各社が公開する自社の価格で、相場を裏づける数字ではありません。費用は初期一括と継続の2本立てで、施設数・対象言語・作業範囲で変わります。
見積もりの初期費用と月額は何が違いますか
初期一括は一度きりの作業で、現状診断・情報整備・構造化データの実装・改善提案が入ります。継続(月額)は毎月の作業で、AIの推薦状況のモニタリング・コンテンツ追加・月次の改善提案が入ります。AIのモデル更新で推薦される施設は入れ替わるため、継続の欄がない見積もりは、効果が消えても気づけない設計になっています。
安いLLMO対策の見積もりは何に気をつければよいですか
安さの理由が、必要な作業を外していることがあります。継続モニタリングの有無、3エンジンを横断して測るか1エンジンだけか、構造化データが実装まで含むか提案止まりか、効果測定の方法が書かれているか、作業分担が明記されているかを確かめてください。これらがオプション扱いや別途見積もりだと、合計金額は見積書の本体価格より膨らみます。
LLMO対策の費用を抑えるにはどうすればよいですか
値引き交渉より、外注する範囲を狭めるほうが確実です。ChatGPTなどで自館の見え方を自分で測る、構造化データを無料ツールで一部自作する、FAQと公式サイトのテキストは施設側で書く、継続は最小構成で始める。この順で自力範囲を広げると、外注は自力では難しい設計と構造化に絞れます。
見積もりが妥当かどうかは何で判断すればよいですか
金額の高い安いより、見積書に継続の欄と効果測定の方法があるか、作業分担が明記されているかを見てください。この3点が書かれていれば、払った後に効果を判定して継続の可否を決められます。書かれていなければ、その3点を質問として先方に返してから、受けるか削るか断るかを判断します。