保存した名簿を、担当者が画面と紙で出せるか確認する
名簿の電子化を任されたフロント責任者は、まず自館の名簿を誰が、どこから、どのように取り出すかを確認してください。入力用のタブレットがあっても、過去の名簿を取り出す方法が決まっていなければ、照会や検査の際に担当者が困ります。
宿泊者名簿は、所定の方法で電子的に作成・保存できます。確認する順序は、記載事項、保存と出力、担当者の操作、障害時の対応です。以下の確認欄を使い、未確認の項目と担当者を支配人へ共有します。
内容確認日:2026年9月12日。対象は旅館業法の許可を受けたホテル・旅館の宿泊者名簿です。
電子化の根拠と、名簿に必要な項目を確認する
電子的な作成・保存の根拠は、平成17年厚生労働省令第44号です。別表第一と別表第二に宿泊者名簿が掲げられ、第4条と第6条で保存・作成の方法を定めています。保存した内容を必要に応じて直ちに明瞭な形で画面に表示し、書面に出力できるようにします。
電子化する際にも、名簿の記載事項と保存期間を満たす必要があります。旅館業法第6条と施行規則第4条の2に沿って、次の項目を確認します。
- 氏名・住所・連絡先を記録する。2023年12月13日の改正で、国の記載事項から職業が削除され、連絡先が加わりました。
- 日本国内に住所を有しない外国人宿泊者は、国籍・旅券番号も記録する。国籍だけで対象を決めず、国内住所の有無を確認します。
- 名簿の正確な記載を確保する措置を講じ、名簿を作成した日から3年間保存する。営業施設または営業者の事務所で備え付ける要件も確認します。
- 都道府県知事が必要と認める事項など、自館に適用される地域の規定を確認する。
記載欄と旅券確認の対象は、宿泊者名簿の記載項目・保存期間の解説で確認できます。古い紙様式をそのまま画面に移す前に、項目を照合してください。
署名・紙の併用・地域の手続を分けて確認する
旅館業法第6条には、宿泊者の署名を必須とする規定はありません。入力内容の確認、本人確認、宿泊約款への同意は、それぞれ何を確認する手順かを自館で整理します。名簿の欄を埋めることと、契約への同意を取ることを混同しないようにします。
紙と電子を併用する期間や、移行の試験方法は自館で決める運用です。全国一律の「1〜3か月の併用義務」として扱う根拠は、上記の規定にはありません。試験の対象と、紙の運用を終える条件を先に決めてください。
地域の追加事項や、自館の設備変更に伴う手続に不明点があれば、管轄の保健所へ確認します。確認時は、使用する画面、保存先、出力見本、障害時の手順を示し、自館の方法で不足する点を聞きます。
保健所へ確認する際のメモ例
確認したい項目: 自館で予定する作成・保存方法: 名簿を取り出す場所と担当者: 画面表示・印刷の見本: 地域の追加記載事項や必要な手続: 回答日・回答内容・確認先:
移行前に、入力から保存までを4段階で試す
以下はBBの実務確認例です。試験には実在する宿泊者の情報を使わず、テスト用の名簿を用意します。画面に入力できた時点で試験を終えず、後から取り出すところまで確認します。
1.記載項目と確認担当を決める
氏名・住所・連絡先、条件に応じた追加事項を入力できるか確認します。未入力や予約者と宿泊者が異なるケースを試し、フロントで誰が内容を確認・修正するか決めます。
2.保存と出力を試す
対象の日付・宿泊者の名簿を探し、画面表示と印刷を試します。文字の欠落、同行者の取りこぼし、保存期間中の自動削除がないかを確認し、解約後の名簿の保管方法も契約前に確認します。
3.担当者の交代と障害時の対応を試す
日勤・夜勤の担当者がそれぞれ操作します。通信障害時は予備の紙様式などで受け付け、復旧後の登録・重複確認を誰が行うか決めます。
4.支配人が切替条件を確認する
試験で残った不具合、地域の確認事項、スタッフへの説明状況を一覧にします。対応を終えてから切替日を決め、既存の紙名簿を含めて保存期間中の記録をどう管理するか確認します。
閲覧できる人と、使えなくなった時の対応を決める
名簿には宿泊者の個人情報が含まれます。個人情報保護委員会のアクセス制御の説明を参考に、業務で必要な担当者に必要な範囲の権限を設定します。退職・異動時に誰が権限を外すかも決めてください。
保存先の仕様確認とあわせて、バックアップから取り出す手順、問い合わせ先、障害時に受け付けた記録の登録方法を確認します。バックアップの有無だけで終えず、保存した名簿を読み出せるかを試します。
- 名簿を見る担当者と、内容を修正できる担当者を決めた
- 保存期間と、解約・機器故障時の記録の取り出し方を確認した
- 夜勤を含む担当者が、名簿の検索・表示・印刷を試した
- 障害時の受付、復旧後の登録、重複確認の担当を決めた
確認結果を支配人に渡し、次に直す作業を決める
名簿の電子化・館内確認メモ
確認日: 確認したシステム・帳票: 記載事項で不足する点: 保存・出力で未確認の点: 夜勤・障害時に残る課題: 次に確認する担当者: 回答・再確認の予定日: 切替の判断者と判断日:
電子保存の確認後もPMSへの手入力が残る場合は、どの項目をどこへ転記しているかを調べます。PMS入力の二度手間を洗い出す記事には、件数と作業時間の記録方法、連携前に確認する項目をまとめています。
主な確認元:平成17年厚生労働省令第44号、旅館業法第6条、旅館業法施行規則第4条の2、厚生労働省「旅館業法改正」、個人情報保護委員会Q&A。制度の要件と、本文中のBBの確認例を区別して記載しています。
