客室清掃管理システムの2つのアプローチ

ホテルの客室清掃管理システムは、解決しようとしている課題によって大きく2つのアプローチに分かれます。

アプローチA:清掃業務効率化型

清掃チーム側のオペレーションを効率化することに主眼を置いたシステムです。紙の清掃指示書をデジタル化し、割当の最適化、完了報告の迅速化、品質チェックの標準化を実現します。清掃の現場が速く正確に回るようになることが価値です。

アプローチB:フロント連携型

清掃チームとフロントが同じ情報をリアルタイムで共有することに主眼を置いたシステムです。「清掃は終わっているのに、フロントが知らない」「フロントが部屋を案内したいが、清掃状況がわからず電話する」という情報の分断を解消します。

90%
紙・電話の削減
(Jtas公式発表値)
10〜30分
清掃完了→ステータス反映
の平均遅延(従来運用)
0回
フロント連携型での
ステータス確認電話

※ Jtas 90%削減は株式会社EDEYANS公式サイトの記載に基づく。遅延時間は一般的な100室規模施設の参考値。

主要4システムの比較

2026年4月時点で利用可能な主要客室清掃管理システムを比較します。

システム名 アプローチ 月額 フロント側表示 PMS連携 忘れ物管理 多言語
Jtas
株式会社EDEYANS
業務効率化 要問合せ 清掃管理画面
(清掃チーム向け)
主要PMS連携 あり あり
HOT/TEL C
株式会社バルテック
業務効率化 5,980円〜
清掃管理20ID +1,000円
ステータス確認可
(色分け表示)
連携あり あり
(写真+メモ)
4言語
(日英中西)
清掃インジケーター
株式会社メイクスプラス
業務効率化 要問合せ ステータス一覧 一部PMS連携 あり 限定的
BB清掃管理
ビジネスブレーン
フロント連携 20,000円〜
初期費用100,000円
リアルタイムステータスボード
(フロント/清掃 同一画面)
フロントクルーPMS
他PMS: API連携相談可
あり
(写真+追跡)
多言語対応

※ 各社料金は2026年4月時点の公式サイト公開情報に基づきます。非公開の場合は「要問合せ」と記載。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

「清掃が速い」だけでは解決しない問題

清掃管理システムを導入して清掃チームの作業効率が上がっても、解消されない問題があります。フロントと清掃の間に残る「情報の遅延」です。

よくあるシナリオを見てみます。

シナリオ1:清掃は完了しているのに、フロントが知らない

305号室の清掃は14:20に完了。しかしフロントのPMS画面が「清掃中」のまま更新されていない。14:40にゲストが到着し、フロントは清掃チームに電話で確認する。電話が繋がらず、折り返しを待つ間にゲストはロビーで待機。実際には20分前に部屋は準備完了していた。

シナリオ2:ステータスの意味がフロントと清掃で異なる

PMSの「清掃済み」は、清掃チームにとっては「清掃完了(未インスペクション)」の意味。フロントにとっては「販売可能」の意味。この認識のズレが、準備できていない部屋にゲストを案内してしまうインシデントにつながる。

シナリオ3:例外がステータスに反映されていない

502号室でエアコンの故障が見つかった。清掃スタッフはリーダーに口頭で報告し、リーダーがフロントに電話。しかし電話が混み合っていて繋がらず、30分後にフロントが知る。その間にフロントは502号室を次のゲストに割り当て済みだった。

これらの問題は、清掃チーム内の効率化だけでは解決しません。フロントと清掃が同じ情報をリアルタイムで見ている状態を作らないと、連絡のための電話・内線・メモが残り続けます。

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施設規模別の選び方

30室以下の小規模施設

清掃スタッフが2〜3名で、直接の声掛けでコミュニケーションが取れる規模です。システムの導入効果が出にくく、紙のチェックリスト+LINEグループで十分なケースも多いです。システムを入れるなら、月額の安いHOT/TEL Cや、コストを抑えた運用が現実的です。

30〜100室の中規模施設

清掃スタッフが5〜15名になり、口頭伝達だけではステータスの把握が追いつかなくなる規模です。清掃チーム内の効率化が目的なら業務効率化型(Jtas、HOT/TEL C)、フロントとの連絡コスト削減が目的ならフロント連携型(BB清掃管理)が候補です。

100室以上の大規模施設

清掃のアウトソーシングが一般的な規模です。外部委託スタッフへの指示出しと進捗管理が必要なため、割当最適化と進捗可視化の機能が必須になります。フロアが複数に分かれるため、フロントが全室の状態を一覧で把握できるステータスボードの価値が高くなります。大規模施設ではJtas(17,000室の導入実績)のような実績重視の選択か、BB清掃管理のフロント連携型かの比較になります。

フロント連携型が向いている施設

フロント連携型の客室清掃管理システムが特に効果を発揮するのは、以下の条件に当てはまる施設です。

一方、清掃チーム内の指示書デジタル化・品質管理の標準化が最優先課題であれば、Jtasのような清掃業務効率化型が先に検討すべきです。フロントとの連絡がそれほど問題になっていない施設では、フロント連携型の導入効果は限定的です。

清掃管理システムの選定で最も重要なのは、「清掃チーム内のオペレーション」を改善したいのか、「フロントと清掃の間の情報共有」を改善したいのかという課題の特定です。どちらの問題が大きいかによって、最適なシステムが変わります。