リピーターには特別な価格やプランを用意したい。しかし公式サイトに掲載すると新規のお客様にも見えてしまうし、OTAとの料金パリティの問題もある。「常連だけに届けたいのに、届ける方法がない」という声は温泉旅館に限らず聞こえてきます。

ある温泉旅館が始めたのが、チェックアウト時にQRコード付きカードを手渡す方法。QRの先は公開サイトに載っていない非公開ページで、リピーター限定の料金と特典が記載されている。Googleにインデックスされず、OTAの料金パリティにも抵触しない。

公開せず、検索にも出さず、常連の手元だけに届く。この予約導線の作り方と運用を解説します。

リピーター特別プランを「公開できない」理由

OTAとの契約には料金パリティ条項が含まれていることが多い。公式サイトにOTAより安い価格を掲載すると、掲載順位の引き下げやペナルティの対象になる。リピーターに安く泊まってほしくても、公開サイトに載せた時点でパリティ違反のリスクが生まれる。

仮にパリティの問題がなくても、公式サイトに「リピーター限定プラン」を掲載すれば新規のお客様にも見える。「なぜ自分にはこの価格がないのか」という不満が生まれかねない。

メルマガでクーポンを配る方法もあるが、メールは転送や共有が容易で、対象外の人に届くリスクがある。SNSでの拡散も制御できない。

「渡したい人にだけ届き、それ以外には存在すら見えない」導線が必要になる。QRカードはその条件を満たす。

QRプランの仕組み

1 予約エンジンまたは公式サイト内に非公開プランページを作成する。meta robotsにnoindex, nofollowを設定し、サイト内のどこからもリンクを張らない
2 非公開ページのURLをQRコードに変換する。UTMパラメータ(例: utm_source=qr_card&utm_medium=offline)を付けて、GA4で追跡できるようにする
3 名刺サイズのカードにQRコードと「次回ご利用時の特別プラン」の文言を印刷する。有効期限があれば記載する
4 チェックアウト時にフロントで手渡す。「次回ご予約の際にこちらからどうぞ」の一言を添える

非公開ページは、URLを直接知っている人だけがアクセスできる状態にする。Googleのクローラーに拾われないよう、noindexの設定は必須。サイトマップにも載せない。

予約エンジンに「非公開プラン」機能がある場合はそれを使う。機能がない場合は、簡易なHTMLページを1枚作り、そこから予約フォームへのリンクを置く方法でも代用できる。

非公開ページに載せる内容

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カードの渡し方と運用

チェックアウト時にカードキーと一緒に渡すのが最も自然なタイミング。「ありがとうございました。次回お越しの際はこちらの特別プランをお使いください」。会計の流れの中で渡せるので、スタッフの負担も小さい。

渡す基準

全宿泊客に渡す方法と、リピーター確認後に渡す方法がある。どちらが正解かは施設の考え方次第だが、実務上は「全宿泊客に渡す」ほうが運用しやすい。フロントスタッフがリピーター判定をする手間がなくなり、渡し忘れも防げる。新規客がQRを使って再訪すれば、それは新たなリピーターになる。

スタッフへの共有

カードの存在と渡し方は、フロントスタッフ全員に周知する。「なぜ非公開なのか」「聞かれたらどう答えるか」もセットで共有しておく。「常連のお客様に感謝を伝えるためのカードです」で十分。

カードのデザイン

シンプルがいい。QRコード、プラン名、有効期限(あれば)。旅館のロゴを入れてもよいが、あくまで「お客様の手元に残るもの」として品よく仕上げる。裏面に施設の電話番号とメールアドレスを入れておくと、QRが読めない場合の問い合わせ先になる。

効果の測り方

QRプランの効果はGA4で追跡する。UTMパラメータを付けてあるので、「集客」レポートでqr_card経由のセッション数とコンバージョン数が見える。

月間QR経由予約 10件 × 客単価 20,000円 × OTA手数料率 15%
= 月間 30,000円のOTA手数料を回避
年間 360,000円

月10件でも年間36万円。客単価3〜5万円の温泉旅館なら年間50〜90万円になる。QRカードの印刷コストは数千円なので、投資対効果は高い。

追跡すべき数字は、QRページのアクセス数、予約完了数、予約完了率の3つ。月次で記録し、カード配布枚数と突き合わせれば「何枚配って何件予約に至ったか」が見える。

半年ごとにリピーター比率の変化も確認する。QRプラン導入前後で直予約に占めるリピーター比率が変わっていれば、施策の効果が出ている証拠になる。

よくある質問

Q. OTAの料金パリティに違反しませんか?

非公開ページで一般には閲覧できないため、パリティ条項に抵触しにくい構造です。ただしOTAの規約は変更されることがあるため、利用中のOTAの最新条件を確認してください。

Q. QRコードはどうやって作りますか?

無料のQRコード生成サービスでURLを入力すれば作成できます。印刷用に高解像度のPNG画像をダウンロードし、名刺サイズのカードに印刷してください。

Q. 予約エンジンに非公開プラン機能がない場合は?

簡易な1ページのLPを作り、予約フォームへのリンクを置く方法で代用できます。noindex設定とサイト内リンクの排除を忘れずに行ってください。

Q. 紙のカード以外の渡し方はありますか?

LINEの友だち登録後に配信、チェックアウトメールへの添付でも届けられます。ただし手渡しのほうが特別感が出るため、対面で渡すことを基本にするのがおすすめです。

Q. 何ヶ月で効果が出ますか?

早ければ1ヶ月で最初のQR経由予約が来ます。効果測定は3ヶ月分のデータが貯まってから行ってください。カード配布開始から半年後にリピーター比率の変化を確認するのが目安です。