じゃらんの口コミ削除は可能か?
「泊まってもいないのに低評価をつけられた」「事実と明らかに異なる内容が書かれている」。じゃらんnetの口コミを見て、怒りと焦りを感じたことのある支配人・担当者は少なくないはずです。
結論から言うと、じゃらんnetの口コミは条件を満たせば削除申請が可能です。ただし、「低評価だから」「納得できないから」という理由だけでは削除されません。じゃらんnetには口コミに関する独自のガイドラインがあり、そのガイドラインに違反している口コミのみが削除対象となります。
出典: TripAdvisor「Management Response Study」(2019年)、MARA Solutions「Online Reputation Survey」(2024-25年)
削除申請が認められるケース・認められないケース
削除が認められやすいケース
- 事実と異なる記載 -- 宿泊していない人物による投稿、利用していないサービスへの苦情など
- 個人を特定できる情報の記載 -- スタッフの実名、容姿の特徴などプライバシーに関わる記述
- 誹謗中傷・差別的表現 -- 施設や従業員への人格攻撃、差別的な表現を含む投稿
- 競合施設による営業妨害が疑われる投稿 -- 同エリアの競合施設関係者による意図的な低評価
- 宿泊と無関係な内容 -- 施設の口コミと関係のない政治的主張、宣伝行為など
削除が認められにくいケース
- 「部屋が狭かった」「食事が期待外れだった」など、主観的だが事実に基づく感想
- 「スタッフの対応が冷たかった」など、感じ方の違いに基づく評価
- 低評価であるが、具体的なガイドライン違反が見当たらない投稿
- 事実関係が曖昧で、施設側も「完全に事実と異なる」と証明しにくい内容
削除申請の手順
ステップ1: 該当口コミの内容を記録する
削除申請の前に、該当する口コミのスクリーンショットを保存し、どの部分がガイドライン違反に該当するかを整理します。「いつ・誰が・何を」のポイントを明確にしておくことで、申請がスムーズになります。
ステップ2: じゃらんnet施設管理画面から申請する
じゃらんnetの施設管理画面にログインし、該当口コミの「お問い合わせ」または「報告」ボタンから削除申請を行います。申請時には、ガイドライン違反の具体的な理由と、事実関係を説明する根拠を記載します。感情的な表現は避け、客観的な事実を中心に記述してください。
ステップ3: リクルートの審査を待つ
申請後、じゃらんnet運営(リクルート)側で審査が行われます。審査期間は通常1〜2週間程度です。審査の結果、ガイドライン違反が認められれば口コミは削除されます。認められなかった場合は、その旨の通知が届きます。再申請は可能ですが、新たな根拠がなければ結果が変わることは稀です。
削除できない場合の返信テクニック
現実には、削除申請が認められないケースの方が多いのが実情です。その場合、最も効果的な対処法は「返信の質」で施設の姿勢を示すことです。
悪い返信の例
お客様のおっしゃっていることは事実と異なります。当館ではそのようなサービスは提供しておらず、お客様の勘違いかと思われます。今後のご利用をお待ちしております。
この返信は、お客様を否定することで施設の正当性を主張しようとしていますが、第三者から見ると「言い訳がましい」「お客様を悪者にしている」と受け取られます。
良い返信の例
この度はご宿泊いただきありがとうございました。ご期待に沿えなかった点があり、大変申し訳なく思っております。ご指摘の件について社内で確認いたしましたところ、当日の状況について認識に相違がある部分がございました。お客様にご不快な思いをさせてしまったこと自体は事実であり、真摯に受け止めております。今後、同様のことがないよう、スタッフ間の情報共有と対応手順を見直してまいります。貴重なご意見をいただき、重ねて御礼申し上げます。
この返信は、事実の相違をやんわり示しつつも、ゲストの感情に寄り添い、改善の姿勢を具体的に見せています。これを読んだ他の利用者は「この施設はきちんと対応してくれる」と感じます。
返信で逆に評価を上げる方法
口コミへの返信は、単なるクレーム対応ではなく、施設のブランディングツールとして活用できます。
返信で意識すべき3つのポイント
- 72時間以内に返信する -- 返信が早いほど「対応が良い施設」という印象を与えます。特にネガティブな口コミには優先的に返信してください
- テンプレート感を消す -- 「貴重なご意見ありがとうございます」だけの定型文は逆効果です。口コミの具体的な内容に触れ、個別対応していることを示してください
- 改善策を具体的に書く -- 「今後気をつけます」ではなく「チェックイン時の説明手順を変更しました」のように、具体的なアクションを記載すると信頼感が高まります
TripAdvisorの調査によると、口コミに対する施設からの返信を読んで「予約しやすくなった」と回答した旅行者は77%にのぼります。ネガティブな口コミであっても、適切な返信がついていれば、むしろ施設の誠実さを伝えるチャンスになります。
出典: TripAdvisor「Management Response Study」(2019年)
OTAの口コミに振り回されない体制づくり
口コミへの返信スキルを高めることは重要ですが、根本的な問題は「OTAの口コミに施設の評価が左右されすぎている状態」にあります。
じゃらん、楽天トラベル、Booking.comなど、複数のOTAにまたがる口コミをすべて管理し続けることには限界があります。各OTAの口コミポリシーは異なり、削除基準もバラバラです。施設側がコントロールできる範囲は極めて狭いのが現実です。
口コミ管理の限界
- OTAごとに口コミの掲載基準・削除基準が異なる
- 匿名投稿のため、事実確認が困難なケースが多い
- 削除申請の成功率は高くない(業界の体感では2〜3割程度)
- 返信しても既読率はそこまで高くなく、低評価の数字だけが独り歩きすることがある
だからこそ、OTAの口コミだけに頼らない情報発信チャネルを持つことが重要です。
AI検索では口コミがどう反映されるか
ChatGPT、Gemini、PerplexityなどのAI検索エンジンは、OTAの口コミスコアだけでなく、公式サイトの情報、構造化データ、Web上の複数の情報源を総合的に参照して施設を推薦します。
ここが従来のOTA検索との大きな違いです。OTAでは口コミスコアが検索順位に直結しますが、AI検索では「施設が自ら発信している情報の質と一貫性」が重要な判断材料になります。
AI検索で施設が有利になるポイント
- 公式サイトの情報がAIに正しく読み取られる -- 構造化データ(schema.org)を実装し、施設の特徴を明確に記述することで、AIが推薦する根拠を提供できます
- 情報の一貫性がある -- 公式サイト、Googleビジネスプロフィール、OTA、メディア記事で施設情報が整合していると、AIの信頼度が高まります
- 具体的なエピソードが強い -- 「露天風呂あり」より「相模湾を一望できる屋上露天風呂」のような具体的な記述が、AIの推薦理由に採用されやすくなります
OTAの口コミ管理には限界があります。削除できない口コミ、返信しても覆せない低評価スコアに振り回され続けるのではなく、自社でコントロールできる情報発信を強化し、AI検索という新しい表示面で施設の魅力を正しく伝えていく。それが、口コミ問題に対する中長期的な解決策です。