同じ質問をGoogleとChatGPTに投げてみた
「箱根で温泉旅館を探して」。この同じ質問を、Google検索とChatGPTの両方に投げてみました。返ってくる結果は、驚くほど異なります。
Google検索では、まずリスティング広告が表示され、次にじゃらんや楽天トラベルといったOTAのまとめページが並びます。旅行者は10件以上の検索結果をスクロールし、複数のページを行き来しながら比較検討する必要があります。
一方、ChatGPTに同じ質問を投げると、3~5つの具体的な施設名が、それぞれの特徴とともに提示されます。「露天風呂が自慢の老舗旅館」「駅から徒歩5分の好立地」といった文脈付きで推薦されるため、旅行者はすぐに比較検討に入れます。
この違いは、単に見た目の問題ではありません。旅行者の行動パターンそのものが変わりつつあるのです。
出典: 宿研「宿泊業界のAI活用動向調査」(2025年)/ Amadeus「Travel Trends 2025」/ Adobe「Digital Travel Survey」(2025年)
Google検索の結果:広告→OTA→公式サイトの順
Google検索で「箱根 温泉旅館 おすすめ」と入力した場合の典型的な表示順は次のとおりです。
- リスティング広告(じゃらん、楽天トラベル、一休.comなど)
- Googleマップの上位3件(MEO対策が効いている施設)
- OTAのまとめ記事(「箱根の温泉旅館ランキングTOP20」など)
- 個人ブログやメディアの紹介記事
- 施設の公式サイト(多くの場合、1ページ目の下位か2ページ目)
つまり、Google検索の世界ではOTAが上位を独占しています。施設の公式サイトが旅行者の目に触れるのは、検索結果をかなりスクロールした後です。SEO対策で順位を上げても、OTAの壁を超えるのは容易ではありません。
ChatGPTの結果:3~5施設を具体的に推薦
ChatGPTに「箱根で温泉旅館を探して。露天風呂があって、料理が美味しいところがいい」と聞くと、結果は全く異なります。
OTAのまとめページではなく、個別の施設が直接名指しで推薦されます。「強羅花壇は、石畳の中庭を囲む静かな老舗旅館で、懐石料理の評価が高い」といった具体的な説明が添えられます。
ここで重要なのは、ChatGPTの推薦にOTAは介在しないという点です。AIは旅行者の質問に直接答える形で施設を推薦するため、OTAのランキングや広告費は結果に影響しません。施設の公式サイトや口コミから得た情報をもとに、AIが独自に判断しています。
旅行者はどちらを信頼するか
旅行計画においてAIを活用する人が増えている背景には、「情報の取捨選択に疲れた」という旅行者の心理があります。
Google検索では、広告とオーガニック検索が混在し、OTAのランキングがどこまで信頼できるのか判断しにくい状況です。旅行者は複数のサイトを比較し、口コミを読み、最終的に自分で判断する必要があります。
一方、AI検索では「質問すれば答えが返ってくる」というシンプルな体験が提供されます。AIが複数の情報源を統合した上で推薦するため、旅行者は最初から絞り込まれた選択肢で検討を始められます。
Google検索は「自分で選ぶための材料」を提供する。AI検索は「選択肢そのもの」を提供する。旅行者にとって、どちらが楽かは明らかです。
ホテルにとっての意味
Google検索とChatGPTの違いを、施設の経営者目線で整理します。
| 比較項目 | Google検索 | ChatGPT |
|---|---|---|
| 表示形式 | リンクの一覧(10件/ページ) | 施設名+特徴の推薦文(3~5件) |
| 結果数 | 数百~数千件 | 3~5件に厳選 |
| OTAの影響 | 上位をほぼ独占 | 介在しない |
| 対策コスト | SEO/広告に継続投資が必要 | 情報整備が中心(低コスト) |
| 施設側のコントロール性 | 低い(OTAと競争) | 中程度(情報発信で影響可能) |
Google検索はOTAが支配する場です。施設がどれだけSEO対策をしても、OTAの資金力と掲載数には勝てません。結果として、多くの施設がOTA経由の集客に依存し、15~20%の手数料を支払い続けています。
AI検索は、この構造を根本から変える可能性を持っています。AIは施設の公式サイトや口コミから情報を読み取り、旅行者の質問に合致する施設を直接推薦します。OTAを経由しないため、施設は手数料なしで旅行者と接点を持てます。
Google検索ではOTAを経由するが、AI検索では公式サイトが直接推薦される
今から始めるAIO対策
AI検索で推薦される施設になるために、今日からできることがあります。
公式サイトの情報を充実させる
AIは公式サイトの情報を重要な情報源として参照します。施設の特徴、客室タイプ、料理の内容、アクセス方法など、旅行者が知りたい情報を具体的に記載してください。「露天風呂あり」ではなく「源泉かけ流しの檜露天風呂。須雲川のせせらぎを聞きながら入浴できます」のように、AIが文脈を理解できる書き方が有効です。
口コミの内容と公式情報を一致させる
AIは口コミの内容も参照します。口コミで「料理が美味しい」と評価されているのに、公式サイトに料理の詳細がなければ、AIは推薦の根拠を見つけにくくなります。口コミで高く評価されているポイントを、公式サイトでもしっかり訴求しましょう。
構造化データを整備する
Hotel、Review、FAQなどの構造化データ(Schema.org)を公式サイトに実装することで、AIが施設情報を正確に読み取れるようになります。技術的な対応が必要ですが、効果は大きいです。
Google検索はOTAが支配する場。AI検索は公式サイトが直接推薦される場。両者は共存しますが、AI検索の比重は今後確実に増していきます。AIO対策は、OTA依存から脱却し、新しい集客チャネルを作るための投資です。
まずは、御施設がChatGPTやGeminiでどのように表示されるか、確認してみることから始めてみてください。